OuUnPo 企画プロジェクト
10デイズ in 東京/横浜 - 2013年6月17日~6月27日
プロジェクトコーディネーター:Per Hüttner、Samon Takahashi
本プロジェクトはVision Forum及び
Global Art and the Museum (at ZKM)(Karlsruhe/スウェーデン) 、Linköpings universitet(スウェーデン)、各団体の協力により実施されます。
Note:
本プロジェクトでは、1回のイベント全体(今回は10日間のイベント全体)を「セッション」、1回(10日間)のセッション中で行われる各イベントを「イベント」「ワークショップ」と呼びます。
1. OuUnPoとは−移動研究室
OuUnPoはアーティストやキュレーター、研究者などから成るグループで、さながら旅する研究室のように、各地で芸術的な活動を通して知識を共有・共作しています。年に数回、各開催地(国)で異なったテーマに焦点を当て、テーマに即したセッションを実施しています。セッションはフェスティバル的要素や、美術展、科学技術シンポジウムなどの要素を融合させており、深刻なテーマにエンターテイメント的なアプローチで取り組む、バランスのとれたプログラムになっています。
2009年より、OuUnPoはギリシャ/アテネでは”Orality”、セルビア/ベオグラードでは”Urgency and Leisure"、オランダ/ナイメーヘンでは”Neuro-imaging and Creativity”、ローマやスコピエ、パリでは”God and Multiverse”といったテーマに取り組みました。 有名・無名を問わず、開催地のあらゆる施設やグループと共に活動します。形式や規律にとらわれない事をグループの重要なテーマと考え、各セッションではパフォーマンスや映像上映、音楽イベント、レクチャーやディスカッションなど、様々な形態及びそれらを混在させたイベントが行われます。
今回日本を訪れるOuUnPoアーティスト及び研究者を”OuUnPonians(オウンポニアン)”と呼びます。
OuUnPoは、スウェーデンのLinköpings 大学が主催するVision Forumネットワークに属するグループです。
2.参加者との交流
各セッションは、開催各地の現地アーティストやキュレーター、科学者、各施設と、来日するオウンポニアンとの出会いの場(プラットフォーム)となります。日本でのこの10日間のセッションでは、現存するあらゆる問題に対して、未来を見据えるための新しい視点や創造的な見解を生み出すことが期待されます。
セッションを通して、アートやサイエンス、日常といったものと参加者の橋渡しをします。
オウンポニアンはヨーロッパ各地から集まり、各自異なる習慣やバックグラウンドを持っています。開催地の参加者はOuUnPoグループまたは開催地のパートナーから招待されて参加しますが、各セッション終了後に、オウンポニアンとして今後のセッションに招待されることもあります。
3. 交流テーマ
ドイツ・カールスエにあるZKMの協力の元、OuUnPoはheritage(遺産、伝統、受け継がれるもの)とcrisis(危機、重大局面)がどのようにリンクしているかということをテーマに4つのセッションを行います。日本以外には、レバノン、スウェーデン、ブラジルでセッションを行い、セッションを通して「再生」という状況に対して人々がどのように応え、向き合っているのかについて、各地の類似点や相違点を探求します。さらに一番重要なのは、否定的な状況が新しいアイデアや解決法の構築にどう役立つのか、を模索することです。つまり過去の回想ということではなく、肯定的で未来へつながるような展開を目指します。
今回OuUnPoは、日本のパートナーとセッションの実施方法について検討する際のツールとして、ゴジラとフェニックス(不死鳥)という想像上の動物を選びました。「再生」と「創造性」がどう関連しているのかをより深く理解するために現地の知恵や知識を使い、多様性や相違点を提示することで、OuUnPoと現地パートナー双方が、将来起こり得る問題を解決へと促す様な糸口を生み出すことができると考えます。 ゴジラとフェニックスとは、東(アジア)と西(西洋)、そして破壊からの再生を表しています。また、世の中の基本的な社会的変化や事象は状況のとらえ方、視点の違いに依るものだということを明示しています。つまり、創造性とは築きあげられてきた歴史や慣習と向き合い、破壊や変化の中で、そうした歴史や慣習と交渉していくことだと考えます。
セッションでは、次のような諸問題に取り組みます:1)過去の問題解決法は現在の私たちをどう救い、また間違いへと導くか? 2)私たちの将来に対する期待は、現在の私たちの行動や視点にどう影響するか? 3)(異分野間を含めた)総合的な交流や異文化交流はどのように創造性を養い、また多様性を保護できるか。
4. OuUnPoの試みとパートナーへのお願い
2009年以来、OuUnPoは各地で開催したたくさんのセッションを通して独自の方法を確立してきました。こうした経験を踏まえて、OuUnPoは専門知識や、刺激的で楽しいイベントを提供します。各イベントはそれぞれの開催場所や施設に合わせ、現行のプログラムに呼応する形で実施されます。
日本のパートナーの方々には、以下の様な点でご協力をお願いしています。
−OuUnPoとその専門家へ現地情報の提供
−地元アーティスト及び研究者などへの提案
−イベント開催
−技術的サポートの提供
5.活動方法−工程と構成
セッションは、開催地の地元クリエーターとオウンポニアンが協力して行い、その交流形態はアート、科学技術体験イベントなど様々ですが、どんな形式であれ人々にとって意義ある交流の機会を提供します。
セッション10日間の各1日1日では、短時間から長時間のイベントが催されます。 各イベントは自由参加、自己完結型のため、参加者は一つのイベントのみへの参加、全日、またはセッション全体への参加など、参加形式を選ぶことができます。
またセッションでは、既存の展示やコレクション、建造物などに対する別の視点を提案します。それは特別なパフォーマンスやツアーなど、いろいろな手法を通して行われますが、その目的はクリエーターや各機関、観客間の相互理解のレベルをより高めることです。
6.観客とOuUnPo
セッションでは、参加者や観客、アート作品、その時々で起こる対話の中に知識の形成が体現される”コミュニケーション“を別の視点でとらえます。 つまり、与えられた問題について対話するといった“交流”はあらゆる方向に広がり発展します。
OuUnPoにとって個性や相違点は文化交流の価値を最大限引き出すための原点です。どのイベントも一般参加可能とし、あらゆるレベルで構成されているため、作り手(表現者)と観客の境界線を曖昧にすることができます。実際、観客がディスカッションやパフォーマンスに作り手と一体となって参加することも多々あります。 イベントに関わる全ての人がその結果や作り出されたものに関わる事が出来る。こうした点が、これまでOuUnPoのセッションが人々から喜んで受け入れられてきた理由の一つです。
7.成果発表
プロジェクトの一環として、レバノン(2012年12月)、スウェーデン(2013年9月)、ブラジル(2014年3月)の3か国で特定のテーマや課題に取り組みます。
また日本を含む4つのセッションの成果をまとめた冊子が2014年にフランスのデザイングループÅbäkeによってデザインされる予定です。
8.オウンポニアンメンバー
• Per Hüttner, Sweden (artist, curator)スウェーデン/アーティスト、キュレータ
• Samon Takahashi, France (artist, composer)フランス/アーティスト、作曲家
• Fatos Ustek, Turkey (curator) トルコ/キュレーター
• Marco Pasi, Italy (historian) イタリア/歴史家
• Claudia Squitieri, Italy (artist) イタリア/アーティスト
• Sara Giannini, Italy (curator) イタリア/キュレーター
• Natasha Rosling, England (artist) イギリス/アーティスト
• Åbäke, France-England (designer group) フランス・イギリス/デザイングループ
• Klas Eriksson, Sweden (artist)スウェーデン/アーティスト
• Elena Nemkova, Russia (artist)ロシア/アーティスト
• Stephen Whitmarsh, Netherlands-England (neuro scientist)
オランダ・イギリス/神経学者
• Yane Calovski, Macedonia (artist, curator)
マケドニア/アーティスト、キュレーター
• Jacopo Miliani, Italy (artist)イタリア/アーティスト
• Cristina Regadas, Portugal (artist, curator)ポルトガル/アーティスト、キュレーター
• Raffaella della Olga, Italy (artist) イタリア/アーティスト
• Sachi Miyachi, Japan (artist) 日本/アーティスト